朱肉の目安となる保存期間
2017.03.29

電卓と角印と朱肉重要書類への押印が必要になった時、朱肉がどこにあるか分からないことが、よくあります。また、見つけても、朱肉がガチガチに固まっていて、使えないこともあります。朱肉は,中国の宋の時代には使われていたほど古くからあります。当時は、泥を使用していたので、朱肉のことを「印泥」ともいう根拠が、ここにあります。この朱肉は、次のように大きく3つの種類に分けられます。
一つ目は、「練り朱肉」と言われる、いわゆる本物の朱肉です。水銀を焼いた(実際は、硫化水銀を昇華)ものに、アルカリ溶液を加え、「銀朱」と呼ばれる人工の赤色顔料を作ります。この「銀朱」にひまし油や木蝋、松脂などと共に、ヨモギから作るもぐさや和紙を加えて、練り上げたものが「練り朱肉」です。天然素材を主原料とする「練り朱肉」は、2ヶ月に1回は練り直さないと、腐敗するとも言われます。また、夏場は、成分の油が溶け出し、表面に浮き出ることがあります。逆に、冬は、寒さで固くなり、朱肉がつきにくくなることがあります。そのため、保管場所に気を付ける必要があります。さらに、時々は朱肉を点検し、固かったらヘラなどを使って上下を入れ替えて、全体を均一にします。油が浮いている状態であれば、布などで拭き取り、乾燥させないようふたをしっかりします。
二つ目は、「スポンジ朱肉」と呼ばれる普段使用されている朱肉です。天然素材を使った朱肉と違って、ほとんど、化学薬品を調合して作られます。顔料系の速乾性のインキと染料系の耐久性のインキとを調合し、植物性の油脂や合成樹脂を加えて色づけし、インク状にしたものをスポンジに染み込ませたものです。基本的に速乾性を重視して作られています。主成分が化学薬品ですから、天然素材のはんこはよいのですが、樹脂素材の三文判などは、変形することもあります。
三つ目は、色紙や書に落款を押す際に使用する「印泥」です。ドロドロと水分が多くべたべたした感じがする泥状の朱肉で、冬は固く、夏は軟らかくなりやすく、湿度や乾燥に弱い、ひじょうにデリケートな性質を持った朱肉です。中国で採れる硫化水銀系の「珠砂」に、ヨモギを乾燥させて作ったもぐさを加え、植物油を混ぜることで、粘り気を出した朱肉です。ただし、天然の「珠砂」は高価なので、多くは人工的に水銀と硫黄から合成した「珠砂」を使用しています。
印影が、長期間変質せずに存在することが、朱肉を使って押印する理由ですから、朱肉自体も早々痛むものでもありませんが、気温などによって油分が分離したり、朱肉が乾いたりしますので、時々点検することが、いざとなって慌てないポイントです。

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